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コラム2026.07

高校2年の夏、母親が癌で亡くなったことをきっかけに、私は「物語を書く人」になった

ライフストーリー作家® 築地隆佑

『ものがたり名鑑』は、なぜ生まれたのか。その問いに答える前に、まず自己紹介をさせてください。代表・築地隆佑が綴る、この名鑑の原点。

はじめまして。『ものがたり名鑑』を運営する、株式会社ライフストーリー代表の築地隆佑と申します。「ライフストーリー作家®」という、少し変わった肩書きで活動しています。

10代から文章を書く生活を送り、社会人になってからは経営者や専門家の方にインタビューする日々でした。2017年に独立するのですが、いわゆる好きなことを仕事にした、という流れです。そして現在は、一人ひとりの歩みや想いを言語化し、ブランディングしていく ── それが私の仕事です。

この『ものがたり名鑑』は、私自身の物語から始まりました。少しだけ、お付き合いください。

14歳、はじめて物語を書いた

私が初めて文章 ── 小説を書いたのは、14歳のときでした。

当然うまく書けたわけではありません。ただ、頭の中に浮かんだ人物が動きだし、その人の人生を言葉で追いかけていく時間が好きでした。

けれど、書くことが「志」に変わったのは、もう少しあとのこと。ある夏の出来事がきっかけでした。

あの夏、母を見送って

高校2年の夏、当時46歳の母を、子宮体癌で亡くしました。

17歳の私にとって、その現実は過酷すぎました。悲しみをどう扱えばいいのか分からず、ただ立ち尽くすばかり。そんな私が現実と向き合えたのは、書くことでした。

2006年3月に病気が発覚してから、同年8月に他界したそれまでの約5ヶ月間の出来事を、ノンフィクション小説として書き起こしたのです。

書く行為そのものは、傷を癒してはくれません。でも、そうすることでしか受け止められないものが、確かにありました。

そうすることでしか、受け止められないものが、確かにあった。

また、このノンフィクション小説が学校を起点に多方面に評価されたことで、「自分が書いた文章で人の心を動かすことができるなら、将来は小説家になりたい」と、本気で考え、夢に向かうようになりました。

1600回の交流会が、教えてくれたこと

とはいえ、小説家として世に出るのは、簡単な道ではありません。気づけば大学生、気づけば社会人になりました。新卒で入ったのは、設立間もないベンチャー企業でした。

そこで私は、異業種交流会の運営・企画・主催をする立場にありました。在籍約5年間で、その数は延べ1600回。約3万人と出会ってきたのです。この業務と並行して私の業務の一つが、参加者一人ひとりのプロフィールシートを作っていました。取材して、書いて、取材して、書いての繰り返しでした。

この頃は、今と違ってストーリーに着目はしていません。仕事内容や、会いたい人、役立てる人は誰なのかを吸い上げ、形にしていくものだったのです。

そして、気づけば25歳。四半世紀を生きた中で、焦りが生じます。

小説家として生きていきたいと思ったのに、前に進めていない ── と。夢を掲げてから7〜8年が経っても、何1つとして成果らしいものを残せていなかったのです。

そこで生き方を変えようと思いました。一般的に言われている小説家、ではなく、小説を書いて生きていける方法を。

改めて自分の強みは何か、どんな経験をしてきたのか ── そんなことを振り返りながら、自分の人生の棚卸しをする時間を作りました。結果的にヒントになったのは前職にある、と理解しました。

同世代の中でもかなり変わった経験をしている、と自負がありました。改めて現場を俯瞰してみてみると、うまく紹介がもらえずに次に進めない人、逆に初対面の人からでも紹介をもらって次に活かせている人の差が見え始めます。

では、その違いとは何か ── を自分なりに考えたとき、こんな答えが出ました。

前者は、商品やサービスを売っている人。後者は、商品やサービスではなく、自分の在り方を売っている人。

商品やサービスを売る人と、自分の"在り方"を売る人。その差が、見え始めた。

そして、この差が出るのは言語化できていない、苦手な人が多いのかもしれない、と感じたのです。同時期、世の中にストーリーマーケティングと呼ばれる「物語の力を使ってものを売る手法」があることを知りました。

私は、これなら自分の強みを活かせるかもしれないと思い、独自の肩書きであるライフストーリー作家を名乗るようになりました。

「バリューシート」という、一枚の物語

2017年に独立後、コロナ禍になるまでは10分で読める短編小説という、これまた少し変わったサービスを法人向け・個人向けに展開していました。

それなりにうまくいっていましたが、コロナの影響を受け、新しいサービスを考えなければならない状況下に陥りました。それが「バリューシート」です。

経営者や専門家の方に取材し、その人の歩んできた道、大切にしている想い、事業の背景を、物語として一枚に綴ったもの。紹介を促すツールとして、商談前に印刷して渡すチラシ代わりに、ラミネート加工して店舗に飾ることも。 ── 人と人が出会う前の「第0印象」をつくる、自己紹介ならぬ「他己紹介」ツールです。

コロナ禍に始めたこの取り組みは、ありがたいことに今では800人を超える経営者の方々からご依頼をいただくまでになりました。

「自分でも気づいていなかった強みを、引き出してもらえた」

そう言っていただくたびに、あの日、母の物語を書いた17歳の自分と、今の自分が、一本の線でつながっているのを感じます。

そして、「ものがたり名鑑」へ

800人分の物語が、私の手元に積み上がっていきました。

一つひとつが、その人にしか語れない、かけがえのない物語です。この一枚を、その人だけのものにしておくのは、あまりにもったいない ── そう思うようになりました。

業種を超えて、地域を超えて、一人の人間の物語が、次の誰かと出会うきっかけになる。困っている人が、頼れる人を見つける入口になる。そんな場所をつくりたい。それが、この「ものがたり名鑑」です。

ストーリーは、人を動かす

14歳で物語を書き始め、17歳で母を見送り、3万人の経営者と出会ってきました。遠回りのようで、そのすべてが、この名鑑にたどり着くための道だったのだと、今は思います。

肩書きの奥には、必ず物語があります。そして物語には、人を動かす力があります。

肩書きの奥には、必ず物語がある。そして物語には、人を動かす力がある。

この名鑑で、あなたが誰かの物語に出会い、心を動かされることがあれば ── それこそが、私が20年以上をかけて信じ続けてきたことの、何よりの証しです。

ライフストーリー作家® 築地隆佑

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